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記事内容
【骨董・陶芸・作家辞典】根付とは part2~根付に使われる素材、見どころ~
1⃣根付には、彫刻に適したさまざまな素材が使われています。
1. 象牙
根付の代表的な素材の一つです。
きめが細かく、細密な彫刻に適していることから、多くの作品に使用されています。
長い年月を経た象牙には、経年による色調の変化や艶が見られる場合があります。
ただし、象牙はワシントン条約や日本の「種の保存法」などによる規制の対象となっています。国内での譲渡や事業としての取り扱い、海外への輸出入などについて、それぞれ条件や手続きが定められているため、象牙製の古い根付を取り扱う際には注意が必要です。
2. 黄楊
黄楊(つげ)は硬く緻密な木材で、細かな彫刻に適しています。
象牙と並んで根付に多く用いられた素材の一つで、木製ならではの温かみのある質感を持っています。
3. 鹿角
鹿の角も根付の素材として使用されています。
独特の色や質感を持ち、素材そのものの形を生かした作品も見られます。
4. その他の素材
このほか、骨、金属、陶磁器、石などを素材とした根付もあります。
素材によって加工方法や表面の質感が異なるため、根付を鑑賞する際の重要な要素となります。
2⃣根付の題材
根付には非常に多くの題材が取り入れられています。
①人物
②動物
③魚介類
④鳥
⑤昆虫
⑥植物
⑦果実
⑧神仏
⑨妖怪
⑩伝説上の生物
⑪能や狂言などに関連する人物
⑫日常生活の道具
⑬吉祥を表す意匠
動物では、鼠、兎、猿、犬、猫、狐、狸など、身近な生き物が題材となるほか、龍、獅子など想像上・伝説上の生物も見られます。
また、七福神や仙人など、信仰や伝説に関係する人物を題材とした作品もあります。
根付は単なる小型彫刻ではなく、当時の人々の生活、信仰、娯楽、文化などを知る手掛かりとなる工芸品でもあります。
3⃣根付師と作家
江戸時代から明治時代にかけて、多くの根付師が活動しました。
作品には作者を示す銘が入っている場合があり、銘は作者や制作時期を判断するための重要な手掛かりとなります。
根付師の中には、人物表現を得意とする者、動物を得意とする者、細密な彫刻を特徴とする者など、それぞれ異なる作風を持つ作家がいました。
根付を評価する際には、銘だけを見るのではなく、彫刻の特徴、構図、素材、技法、時代性などを総合的に確認することが重要です。
4⃣根付の見どころ
根付は非常に小さな作品ですが、全体をさまざまな方向から見ることで、細かな工夫を発見できます。
特に注目したいのが、人物や動物の表情、手足の造形、衣服の文様、毛並み、道具類などの細部です。
また、正面から見た姿だけでなく、裏側や底面まで彫刻が続いている作品もあります。
実際に使用された根付では、手に触れたり帯などと接触したことによる摩耗や艶が見られる場合があります。こうした使用痕は、作品の来歴や状態を考えるうえで参考となる場合があります。
5⃣根付の価値・評価
根付の価値は、一つの要素だけで決まるものではありません。
一般的には、次のような点が評価の対象となります。
①作者・根付師
②制作年代
③素材
④題材
⑤彫刻技術
⑥造形の完成度
⑦保存状態
⑧銘の有無
⑨希少性
⑩来歴
⑪市場における評価
特に、優れた彫刻技術を持つ作品や、著名な根付師による作品、制作例の少ない題材の作品などは、高く評価される場合があります。
一方で、銘があるというだけで作者を特定できるとは限りません。根付の真贋や作者、年代を判断する際には、作品全体を専門的に確認する必要があります。
6⃣古根付と現代根付
現在流通している根付には、一般に「古根付」と呼ばれる江戸時代・明治時代などの根付と、現代の作家によって制作された現代根付があります。
古根付は歴史的な工芸品としての価値を持つ一方、現代根付には伝統を継承しながら現代的な題材や表現を取り入れた作品もあります。
そのため、「根付」という名称だけで制作年代や価値を判断することはできません。
7⃣根付を鑑定・査定する際に確認したいポイント
古い根付をお持ちの場合は、表面を強く磨いたり、薬品などで洗浄したりせず、そのままの状態で確認することが大切です。
古い作品では、自然な経年変化や使用による艶、細かな傷なども作品の状態を判断する材料になります。
また、箱、仕覆、古い鑑定書、購入時の資料などが残っている場合は、作品と一緒に保管しておくとよいでしょう。
根付は小型であるため、銘や彫刻の細部、紐通しなどを含め、複数の方向から確認することが重要です。
8⃣まとめ
根付は、日本の生活文化から生まれ、独自の発展を遂げた美術工芸品です。
象牙や黄楊などの素材に人物や動物、植物、神仏など多彩な題材が彫刻され、作品ごとに異なる造形や技法を見ることができます。
現在では、古根付が国内外の美術品・工芸品として収集される一方、伝統技法を受け継ぐ現代根付も制作されています。
小さな作品の中に、江戸時代から続く日本の彫刻技術と生活文化を見ることができる点が、根付の大きな魅力です。
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