いつでもお気軽にお電話ください
いつでもお気軽にお電話ください
記事内容
【骨董・陶芸・作家辞典】小服茶碗(こぶくちゃわん)とは|小服の意味・特徴・茶箱や旅茶碗との違いを解説
~小服茶碗(こぶくちゃわん)とは?「小服」の意味から、小服茶碗の大きさや特徴、茶箱・旅茶碗・野点との関係、骨董としての見方や鑑賞ポイントまで詳しく解説します。~
1⃣名称について
「小服茶碗」という名称は、少量の茶を喫する場合や携帯性などから用いられてきた、小形の茶碗を指す呼び名です。
ただし、小服茶碗には「口径○cm以下」といった全国共通の厳密な寸法基準があるわけではありません。時代や窯、作家、用途によって大きさや形には違いがあります。
そのため、骨董や陶芸の世界では、単純に「小さい茶碗」というだけではなく、その小ぶりな姿や扱いやすさも含めて、小服茶碗の特徴を捉えると分かりやすいでしょう。
2⃣小服とは?
「小服茶碗」「小服碗」などの名称では、一般的な茶碗よりも小ぶりな茶碗を指して用いられることがあります。
現在の陶芸作品にも小服茶碗や小服碗という名称が用いられており、茶道具としてだけではなく、日常の器として制作される例もあります。
小服茶碗という名称からは、「小さな茶碗」という器形上の特徴だけでなく、少量の茶を気軽に楽しむという趣も感じ取ることができます。
3⃣小服茶碗の大きさ
小服茶碗に明確な寸法の規格があるわけではありません。
実際の作品を見ると、口径や高さにはかなり幅があります。例えば、愛知県陶磁美術館所蔵の加藤春鼎(二代)《引出黒小服茶碗》は高さ8.6cm、口径8.4cmとされています。
(出典:https://artplatform.go.jp/ja/collections/W1127510)
一方、石黒宗麿の「鉄繪小服」は口径10.7cm、高さ5.7cmです。
(出典:https://www.kurodatoen.co.jp/cp_lineup/munemaro-ishiguro-63/)
このように、「小服」という名称だけから一定の寸法を想定することはできません。
茶碗は口径だけでなく、高さ、胴の張り、腰の形、高台の大きさ、器体の厚みなどによって印象が大きく変わります。
そのため、小服茶碗を見るときには寸法だけではなく、実際に手に取ったときの大きさや手取り、器としてのバランスを見ることが大切です。
4⃣小服茶碗の特徴
小服茶碗の大きな魅力は、手の中に収まりやすい親密な大きさにあります。
大ぶりな茶碗には堂々とした存在感がありますが、小服茶碗には、掌に包み込むような愛らしさがあります。
また、小さな器体の中に土味や釉薬、轆轤目などの表情が現れるため、こうした部分も鑑賞のポイントになります。
特に骨董の小服茶碗では、
①土の質感
②釉薬の景色
③焼成による窯変
④轆轤目
⑤胴の張り
⑥口縁の造形
⑦見込みの景色
⑧高台の形
⑨畳付の状態
などが鑑賞のポイントになります。
小さな茶碗でありながら、一碗の中に作り手や窯の個性がよく表れるところも、小服茶碗の面白さです。
5⃣小服茶碗と普通の茶碗の違い
小服茶碗と一般的な茶碗の違いは、まず器の大きさにあります。
しかし、単純に「小さいものを小服茶碗と呼ぶ」と考えると、少し分かりにくくなります。
茶碗には、茶席での使い方、季節、点前、取り合わせ、作者の意匠など、さまざまな要素があります。
小服茶碗の場合は、そうした茶碗としての性格を持ちながら、比較的小ぶりに作られていることが特徴です。
そのため、小服茶碗は茶室だけに限定される器というよりも、茶箱や旅先、野点など、道具をコンパクトにまとめたい場面とも相性のよい茶碗といえます。
6⃣小服茶碗と茶箱
小服茶碗を語るうえで、茶箱との関係は重要です。
茶箱は、茶を点てるための道具を一つの箱にまとめ、携帯できるようにしたものです。
その性格上、茶碗についても、通常の茶席で用いる大ぶりのものより、収納や携帯のしやすい小ぶりな器が好まれる場面があります。
小服茶碗はそのような茶箱の道具としても取り合わせやすく、コンパクトでありながら茶碗としての存在感を楽しめるところに魅力があります。
ただし、小服茶碗と茶箱茶碗は完全に同義ではありません。
「小服茶碗」は小ぶりな茶碗であることを示す呼び方であるのに対し、「茶箱茶碗」は茶箱で使用する茶碗という用途に重点を置いた呼び方です。
7⃣小服茶碗と旅茶碗
小服茶碗は「旅茶碗」と関連して語られることもあります。
旅茶碗とは、その名のとおり旅先などへ携帯して茶を楽しむための茶碗という性格を持つ呼び名です。
「小服茶碗」と「旅茶碗」は、用途や特徴が重なる部分があります。
一般に「小服茶碗」は小ぶりな茶碗であることに、「旅茶碗」は携帯して茶を楽しむことに、それぞれ重点を置いた呼び方として理解すると分かりやすいでしょう。
8⃣小服茶碗と野点
野外で茶を楽しむ「野点(のだて)」とも、小服茶碗は相性のよい器です。
野点では、茶道具を持ち運ぶ必要があるため、取り回しのよい道具が求められます。
小服茶碗は比較的小ぶりで扱いやすいため、野外での一服を楽しむ器としても用いやすい存在です。
「野点茶碗」は野点での使用を想定した呼び方であるのに対し、「小服茶碗」は小ぶりな茶碗であることに重点を置いた名称と考えると分かりやすいでしょう。
この二つも、似た場面で使われることはありますが、厳密には同じ意味ではありません。
9⃣骨董の小服茶碗で注意したいこと
骨董品を見るときには、「小さい茶碗だから、昔から小服茶碗として作られた」とは限らない点にも注意が必要です。
古陶磁の世界では、本来は食器や別の用途のために作られた器が、後世になって茶の湯の器として見立てられることがあります。
実際、愛知県陶磁美術館が紹介する桃山時代の黄瀬戸茶碗にも、もとは食器として作られたものが後に茶碗へ転用されたと考えられている作例があります。
このような「見立て」は、茶の湯における器の楽しみ方の一つとして、骨董や古陶磁を見るうえでも興味深いものです。
したがって骨董の小服茶碗を見る際には、
「いつ作られたのか」
「どこの窯で作られたのか」
「当初から茶碗として作られたのか」
「後世に茶碗として見立てられたものなのか」
といった点を分けて考えることが大切です。
今回はここまでにして、次回の記事では「古陶磁と小服茶碗」、「鑑賞ポイント」、「魅力」に分けて書いてみます。
--------------------------------------------------------------------------------------
秋元美術では、茶道具・陶磁器・掛軸・古美術品などを取り扱っております。
商品は随時入れ替わっておりますので、在庫状況や入荷状況につきましては、お気軽にお問い合わせください。
また、店頭での買取のほか、出張買取にも対応しております。
【名古屋の古美術商】
秋元美術(店名:秋元古美術)
〒461-0015 愛知県名古屋市東区東片端町52番地
TEL:052-325-7587

